とてもニッチなスイスの香水メゾンLes Nez。
 2006年に始まった、まだ新しいメゾンです。
調香はアニック グタールの各種も手がけるイザベル・ドワイエンとSandrine Videaultという女性ふたり。
2017年1月現在購入できる香りの数は4つと点数も少ないです。

 Unicorn Spellは調香が伏せられており、代わりに詩が添えられています。
…香りはざっくりと言うとグリーンの強いバイオレットとアイリスの香り。 
2010/10/13のレビュー

調香が載ってなかったんですけど、目の覚めるような青苦いヴァイオレットリーフ?から始まります。
柑橘もあって、なんというか女性ものかどうかもよく分からないぐらい。
そこから、少しずつまったりパウダリーなフローラルになり、ラストは淡いムスクですかね。
なんせ、シンプル!試香してやろうと意気込んでいると、移り変わりが遅〜いと感じます。
(でも、はっきりした変化はあるんです)
夜明け前をイメージしたそうですけど、確かに初日の出を待ってる間って長く感じられるねってことで。


2017年 最初のレビューにこちらを選んだのは、今一番気になる香りだからです。
アイリスが好きだと自覚した2015年以降、たくさんのアイリスの香りを試して来て、心に残ったシャネルのラ パウザ(EdT)が廃盤になってしまった後、ふと似た香りだった気がしてこちらを再度香ってみたという話。

改めて比較してみると、ラ パウザの柑橘をバイオレットに置き換えたらこうなるのでは?
といった印象です。

グリーンの効いたバイオレットが香るトップ。
どこか紅茶の缶を開けたときのような香りもします。

それからはアイリスの吐息のようなパウダリー感とアーシーさ、ベースノートのうっすらとしたベチバーが香る感じ。

とてもシンプルで繊細。
比較するとこちらの方がバイオレットが香るだけにフェミニンですね。

夜明け前の静けさ、夜露に濡れた草花から立ち上る香気といった印象。
昔のレビューで「初日の出を待っている間」と書いていますが、ひんやりした空気感を感じる香りです。
香水然とした華やかさや重厚感はまーーったくありません。

肌に寄り添うような香り立ちというところもラ パウザと同じく。
そして同じくあまりに香りが立たないので、物足りない気もしなくはない…です。


 ラ パウザやルール ブルーといった繊細な香りに慣れてしまうと、強い香りが中々受け付けなくて、正直困っていたのですが(笑)この香りはいけそうです。